動産なのに不動産扱い?海の不動産「船舶」
民法に基づいて考えると、船舶は、土地とその定着物でないため動産であるといえます。しかし、船舶・自動車・航空機等については、財産的価値・物件自体の規模が土地家屋等の不動産に匹敵することから、一般的な動産と同様の法的運用がそぐわない場合があります。例えば、船舶が動産であるからといって、船舶の第三者に対する対抗要件を引き渡しとすると、所有者と占有者が分離することがある実際の運用に適合しないといえるでしょう。また、占有を移転しないで船舶を担保にするという要請もありました。
そこで、動産である船舶に、特例として不動産と同様に船舶の登記制度を設けました。これを船舶登記といいます。これにより、登記が第三者対抗要件となり、所有権等の権利の公示を行うことができるようになりました。
ただし、船舶登記は全ての船舶においてされている訳ではなく、船舶登記手続きは複雑であることから、小型船舶とされた船舶については、自動車と同様の登録制度が採用されています。この小型船舶の登録も、第三者対抗要件となっています。